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スローライフコラム その5

 

日本海の孤島・舳倉(へぐら)島 

 

ニューへぐら
私たちのスポット
舳倉島メインストリート
海女さんのスポット!
アワビ!
民宿でのよるご飯
石積み(ケルン)
舳倉島にある神社
青いくらげ
さよなら舳倉島

能登に生まれ育った私にとって念願の舳倉(へぐら)島へ行く日が来ました。
日本は元々島国で、実際毎日島で暮らしているのだけれども、その実感はほとんどなく、小さな島へ行くということにとても非日常的なものを感じてしまいます。
島というものがなぜかとても魅力的に感じます。

私が住んでいる能登半島の中程に位置する七尾市の近くには能登島と言う島があり、能登半島の中で私が最も気に入っている場所の一つです。
能登半島が大きな口を開け、その中にぽっかりと収まっているかのような能登島は島ではあるけれども四方向のほとんどの部分を陸で囲まれ、対岸が眺められます。
島なのではあるけれども、陸に囲まれた安心感を持つ、そんな場所。

一方、今回訪れる舳倉島は能登半島の北に位置する輪島からさらに沖合50キロに位置する孤島。360度見渡す限りの日本海の中にぽつりと浮かぶ小さな島なのです。

厳しい自然環境であると同時に、豊かな自然が今なお残るこの舳倉島はバードウォッチングの島としても知られています。舳倉島は300種を超える渡り鳥の中継地点であります。また、海の中は魚の宝庫でもあります。沖釣りでは日本海の荒波に育てられた大物達が強いヒキで釣り人を虜にしているようです。マダイ・クロダイ・イシダイ・スズキ・ハチメ(メバル)・アイナメなど、獲物の種類も豊富です。

そして、この島の一番の産業であるサザエ・アワビ獲りがあります。初夏から秋中旬にかけて海女さん達の潜水作業が行われます。サザエ、アワビのほかにもたくさんの種類の海藻が採れるそうです。

さて、舳倉島の説明はこの辺までとして、横浜から来た友人二人と一緒に早朝七尾を出発し、輪島へ向かいました。輪島から毎朝9時に定期船「ニューへぐら」が出航します。出航前に輪島の朝市見学もしたかったので、七尾を出たのは6時半頃、輪島までの道のりは車で1時間と少しです。
輪島で舳倉島に行くと話すと、蚊に気をつけてという言葉。舳倉島の蚊はすごいらしく、地元の人は夏こない方がいいとまで言っているらしいです。

9時10分程前に波止場に戻り、荷物とクーラーボックスにつめた飲み物や果物を持ってニューへぐらに乗り込みました。
輪島港を出発、天気はやや霞がかかっているような感じではあったけど晴天。海も比較的穏やかで、船が進めば進む程海の色のブルーが濃くなっていきました。

ニューへぐらは北に向かって進みます。およそ1時間半の船旅。途中、ちょうど半分の地点で七ツ島と言う無人島の島群が眺められます。七ツ島は天気がいいと輪島からも見えます。
七ツ島を通り過ぎしばらくすると、いよいよ見えてきました。舳倉島。
舳倉島は最高地点が12メートルということもあり、海上に浮かぶ様子はとっても平坦でした。
島の中心にそびえ立つ灯台がひときわ目立っていました。

舳倉島に到着。島の子供達が自転車で集まっていました。
私たちは荷物を持ち、電話で予約した民宿「つかさ」へ向かいます。
重い荷物を抱えながら歩いていると、同じ民宿へ向かう別の人が引っ張っているリヤカーに私たちの荷物も乗せてくれました。船着き場にはリヤカーが何台か置いてあったのですが、それは民宿のものらしく、それを使ってよかったようです。
いよいよ民宿に到着。その日はほかにも何組かの泊まり客がいました。
部屋に荷物を置き、着替えをすませ、海へとはやる気持ちを抑えてまずは舳倉島探検に出かけることにしました。
島をぐるっと半周。車が走っていないため、道は狭く、自転車がすれ違う程度のものです。
船が到着した舳倉島の東岸とはうってかわって、その反対の西岸は岩場の海で荒々しく、風も強く、自然環境の厳しさが感じられます。それでもたくさんの植物が地面を覆い、たくさんの花を咲かせていました。
自然の厳しさ故の美しさがそこにありました。
島を半周し、泳ぐスポットを見つけて一度民宿に戻り食料・飲料を持っていざ海へ!

岩肌が黒く、そして荒々しい。現在のようなかたちにへと変貌するのに要した膨大な時間がそこには感じられました。
天気もよく、風も比較的静かだったおかげで、海の透明度は抜群でした。
岩場の海にはたくさんの海藻がはえ、そしてたくさんの魚たちが泳いでいました。
手つかずの自然の中に身を置くということが、普段の自分を忘れさせてくれるような何とも言えない時間です。
泳いだり、岩場で寝転んだり、一杯飲んだりして舳倉島でのゆっくりとした時間を過ごしました。
時間の感覚が本当に失われてしまいます。今何時かなんて、どうでもいいこと、そんな感覚。

たっぷり泳いだ私たちは6時の夕飯には民宿に戻りました。
ここでの夕食は今回の旅行の最大の楽しみでもありました。
民宿の食堂にいってみると、大きなアワビが5、6個たらいにはいっていました。しかも生きている!
もしかして、夕飯!?と、期待でいっぱい。
そこに登場した民宿の女将さん。「ごめんね、これはあなた達にはでないのよ」と。
ほかに泊まっている団体さんのものだったらしい。
私たちはせめて写真でもと、みんなで写真を撮りまくり、そしてなめるようにそのアワビを眺めていたのを女将さんも見かねたのか、「アワビ食べたい?」私たちは大きくうなずく。
中くらいの大きさのアワビを一つ、食べさせてくれた。一皿3,000円。
私たちの夕飯への盛り上がりは最高潮!

夕飯のメニューは、もずく(能登のもずくは有名!)、はちめ(メバル)の焼き魚とお造り、イカの煮物、あわび、そしてご飯とお味噌汁。海の幸がほぼ100パーセントの御馳走。
いただきまーす。
お刺身はとっても新鮮で、もずくも最高!アワビはこりこりしていて、新鮮以外の何者でもありません。
すべてがこの舳倉島のきれいな海でとれ、全く臭みがないおいしい夜ご飯でした。
素材そのものが持つ美味しさが感じられる品々でした。

夜ご飯を食べ終え、子供時代に戻ったようにお部屋でトランプやウノをして遊んでいました。
寝る前にスイカでも食べようかと持参したスイカを持ち、宿の外へ出てスイカを食べました。
そして民宿の入り口にはいったところで、同じ民宿にとまっている別の方がなんと舳倉島での夜の楽しみを教えてくれることになったのです。
私たちは海で潜ることがうまく出来ず、サザエ採りは諦めていました。きれいな海で泳いで、魚をたくさんみられればいいと。ところがその方達のおかげで、私たちもサザエをもって帰ることが出来たのであります。

舳倉島での夜の楽しみ。それはサザエ採りです。しかも海に潜らずして。
サザエは夜になると温かい場所を求めて、水面近くにあがってくるそうです。
舳倉島の漁港がある波止場に出かけ、その波止場の側面にくっついているサザエを探します。
必要な道具は懐中電灯、網、サザエを入れる袋、です。
波止場の側面を上から覗き込み、懐中電灯を照らしてくっついているサザエを探します。
みつけたら網をおろし、落とさないように気をつけながら網の先の部分でサザエを壁からはがすように採り、そしてうまく網の中に入れるといった手順です。
驚いたことに、結構サザエがいました。潜らずしてサザエが採れるという手法にとっても満足した私たちはかなり夢中になってサザエ採りに励みました。
結局30分程でサザエを20個以上ゲット!一度知ったらやめられない味を覚えたと言った感じです。
舳倉島での夜の楽しみ、覚えておいてくださいね。

昼から夜からすっかり満喫した私たちはぐっすりと睡眠。蚊対策のためにベープと、リキッド、蚊取り線香のすべてを駆使した部屋で、扇風機の風を浴びながら休みました。

翌朝、また天気のいい日でした。
朝ご飯をいただき、昨日歩いていない島の部分を散歩することにしました。
一本道をぐるっと、島にはあちこちに神社があり、そしてあちこちに石積み(ケルン)がありました。
それがまた、この日本海に浮かぶ舳倉島の情緒を醸し出していました。
散歩を終え、今日もまた一泳ぎ。

ところが、海にはいると異変が・・・
たった一日、昨日はどうってことなかったのに、海にはいるとちくちくちくちく。
全身のあちこちがちくちくし、痛くて泳いでいられない・・・
それはどうやらチビクラゲだったようです。
あまりの痛さにその日は海にはいることを断念。そのかわりに岩場でいろいろな海の生き物を観察。
そこで、とってもきれいなクラゲ発見。私たちを苦しめたクラゲとはいえ、見る分には美しい。
見たことのない、ブルーの美しいクラゲでした。
その他にもブルーの小さな小魚が岩場のプール部分で泳いでいたり、カニが泡を吹いていたり、磯遊びは私たちを小学生の顔にさせてくれます。

磯遊びに満足し、海を後にしてお昼ご飯を食べに宿に戻りました。
お昼ご飯のメニューはところてん、焼き魚、サザエのつぼ焼き、ご飯、みそ汁。
これまた海の幸に大満足。

午後3時発の船に乗るために民宿を後にしました。
船乗り場に近づくと、海上のあちこちから海女さんをのせた船が集まってきました。
翌日の輪島の朝市に出すためか、かご一杯のサザエを持った海女さんが漁連のようなところでサザエをはかってもらっている。そのまま船に乗り込む海女さんもいました。
帰りの船はとっても混んでいました。
定期船ニューへぐらは人間だけではなく、たくさんの物資も運んでいるようです。

午後3時、舳倉島を後にしました。船の出発とともに、港に集まっていた船もまた海に散っていきました。
帰りの船では座れなかったせいもあって、上のデッキからずっと、小さくなっていく舳倉島を眺めていました。
平らな島はいつ水平線に吸い込まれていくのだろうか。
白い灯台がいつまでも水平線の彼方に見えましたが、それもやがて消えていきました。

とてもシンプルな暮らしが舳倉島にはありました。
そしてそのシンプルさがなにか現代の生活にどっぷり浸かる私たちが失いつつあるものが見えるようでもありました。
舳倉島おすすめです。
いつの日か、訪ねてみてください。

 
<text/photo:Chie Ubaura>
 

 

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