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スローライフコラム その2

 

イタリアで出会ったスローフード <前編>

〜イタリア滞在記〜

playtheglass 増田洋美展 in ヴェネチア
水の都ベネチア
ブラ近辺の景色。見渡す限りぶどう畑。(この写真は冬なので・・・)
 

昨年1年間イタリアのヴェネチアに滞在していました。
ヴェネチアでは第50回ヴェネチアビエンナーレの会期にあわせ、ヴェネチア本島の由緒あるサンフランチェスコ教会というところで開催された日本人のガラス作家、増田洋美さんの個展の仕事をお手伝いしていました。
(増田洋美“play the glass" HP: www.playtheglass.com)
個展の会期は6月初旬から11月初旬と長く、その前後をあわせて約1年のイタリア滞在でした。

そのイタリア滞在中に、私が出会ったのがイタリアが発祥の地であるスローフードというアイディアでした。
イタリア人にとって食はとっても大切です。そして、それぞれの地方の食の個性というものもとっても強く、またその食べ物に対する地元の人の誇りの強さもすごいと思います。
食への情熱、地方食の豊かさ、オリジナリティー、それは日本と共通したことですよね。
能登出身の私は、小さい頃からなにげに口にしていた食べ物、そういったものの幾つかが都会に出て初めて地元のものだと気がつく。
何でもそうかもしれないけど、外に出ないと見えないことって多いですよね。自分が日本人だって意識したのも、外国に出て初めてだったし。
地元、能登の魚の美味しさを痛感したのは大学時代でした。東京、横浜では魚には見向きもせず、地元に帰って寿司や刺身を食べるのを楽しみにしていました。
私が最終的に、生まれ育った能登に帰って来て、仕事をしていこうと決心できた一番大きな理由は“地方食の豊かさ”だったかもしれません。能登は美味い!

話はイタリアに戻りますが、こういう地方育ちのバックグラウンドを持った私にとって、イタリアの地方食は、とても興味深いものでした。私が住んでいたヴェネチアは海に浮かんだ町ということもあって魚介類が豊富で、魚介類を用いたパスタやリゾットがあります。特に有名なのはイカスミのパスタですかね。ヴェネチアの市場には日本とだいたい同じような魚が並んでいます。
アジ、イワシ、マグロ、タイ、スズキ、サーモン、シャコ、ムール貝、アサリ、イカ、タコ、カニなどなど
市場に行って新鮮な魚を買えば、刺身だって食べられます。

一方、トスカーナなどの海からはなれた土地に行けば、肉、肉、肉です。
生ハムやサラミにもたくさんの種類がある。そしてやっぱりワイン、チーズ。

それでもって、やはりその土地に行けばその土地で採れるものが食べたいし、他では食べられないものが食べたいというのがいいですよね。結構これってよくあることだと思うんだけど、”これおいしい!”って思ったものをお土産として買う、そして家についていざ食べる。ところがその土地で食べたときほど感動しない。あまりの感激にたくさん買い込んで来たとしても、食べきれずに残ったりする。そういうことって経験したことありませんか?
やはりその土地の食べ物って、もちろんそれ自体が美味しいんだけど、そこの空気とあって、そこの水とあって、そこで食べるからこそ最高に美味しいんだと思います。

日本に帰国する直前に、イタリアにいる間にどうしても行きたかった場所である、スローフード発祥の地で、現在スローフード協会の本部がある、ピエモンテ州のブラという街に行きました。いろいろな情報で、ピエモンテ州のブラという村とか、田舎町ブラと、ありますが、私が想像していた田舎町よりは遥かに都市でした。(私が田舎者だからかな!?)

それはいいとして、ブラ近辺を3泊する旅行でした。
ブラの近くにはアルバという、同じくらいの規模の町があり、そこはあの高級品、トリュフの産地として有名で、毎年トリュフ祭りも行われる地であります。そして、ブラの南には、イタリアの赤ワインの王様と称される“バローロ”の産地、バローロ村があります。この一体は、バローロに始まり、バルバレスコ、ネビオーロ、バルベラ、バルベラダルバなどなど、イタリアでも有名なワインどころであります。そしてまたチーズも有名なのです。

こんないいところはないですよね。ワインにチーズ、そしてもちろんサラミやハムも豊富。
私がイタリアに住んで感じられる至福の時間、それは生ハムとチーズををつまみにワインを飲むひとときでした。スーパーから買って来て、住んでいたアパートで食べるのですが、『イタリア万歳』とよく叫んでいましたね。
余談ですが、イタリアではスーパーやハム屋さんへ行くと、パック詰めのものも売っていますが、だいたい何グラムくださいというとその場で切ってくれます。切り立ての生ハム。
それから、ワインですが、すごく安い!量り売りのワイン屋さんがあるのです。だいたい1リットル2ユーロ前後。1.5リットル入りのペットボトルに入れてもらったり、マイボトル(2リットル入り)を持っていったり。

そう、余談ついでにもう一つ。ヴェネチアという街は地理上(いいわけかな!?)ゴミの分別収集はありません。ゴミはすべて一緒。買い物袋などに入れ、毎朝家の玄関の前に出します。そしたらゴミ集めのカートを引っ張った人がゴミを載せていってくれます。(念のため、ヴェネチアは運河の街で、車はいっさい走れません。物資の運搬などは主に船ですが、陸に上がればすべて人力。)ヴェネチアに住んだ当初、ゴミをすべて一緒にして出すことになかなか慣れず、なんとかリサイクルできる方法はないかと思いました、が、人に聞いても、本土(念のため、ヴェネチアは島です)に持っていかないとない、という答えしか帰ってきませんでした。そんな中、唯一見つけたリサイクル法。それは、水がはいっているペットボトルをとっておき、前述したワインの量り売り屋さんに持っていくのです。喜んで受け取ってくれます。量り売りワインはそのリサイクルされたペットボトルに入れられるのです。
余談がすぎました。話を元に戻します・・・

旅行の一つの目的は、スローフードの発祥エリアを訪ねるということは先に言いましたが、もう一つの目的はイタリアのアグリツーリズモを体験するということでした。(ピエモンテの郷土料理を食べるという目的は言うまでもなく一番大切な部分です)
アグリツーリズモとは意味通り、農業と観光を一体化させるということですが、実際は農業をしている人が、空いている部屋などを旅行者に提供し、旅行者は農業の体験が出来たり、そこで採れているものを安く分けてもらって食べられたりするのです。
このアグリツーリズモは近年とっても人気があります。ヨーロッパ各地からたくさんの客が来るそうですし、日本からのお客さんも意外と多いと言われました。面白かったのが、お隣のフランス人の客は少ないということです。日本人より少ないかも・・・・と、聞きました。これはおもしろい。

 

  → <中編>に続く・・・
 
<text/photo:Chie Ubaura>
 

 

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