| 『たまには家の照明を暗くして、和ろうそくにあかりを灯すひとときを』とは七尾和ろうそく・高澤商店の奥様高澤行江さんの声です。
高澤さんは何十年もの間そう叫び続けて来ているそうです。
今の 私たちの生活には照明があふれ、いつも明るい状態で過ごしています。
若い人のあいだでは、バーやレストランなど、ちょっと照明を落とし、キャンドルを使っているような雰囲気はちょっとおしゃれですよね。でも中高年のおじさんはなぜかこういった空間が落ち着かないと言います。
不思議なもので、明るいなかでは、人は心をたくさんのもので覆っていますが、やや暗いところではその覆いがとれ、心が裸の状態に近づくような気がします。
自分の心が裸に近い状態になれば、当然相手には自分の心が見透かれやすくなりますよね。
そして自分も素直になれる。
ろうそくやキャンドルのあかりにはそういう力があるんじゃないかなって思います。
コミュニケーションをはかる。そういうことが家庭でも、学校でも、社会でも、最近難しくなっています。難しくなっているというよりは、習慣がなくなってきているんですよね、きっと。
もし、そういうことでお悩みを抱えている人は一度試して欲しい。あかりを灯す一夜を。
テレビを消し、照明を落として。ろうそくの明かりを囲んで家族に、友人に、恋人に、向かい合ってみてください。そして何か変化があったら知らせて欲しいですね。是非。
私も高澤さんを訪ねたとき、2Fのあかりのギャラリーで七尾和ろうそくにあかりを灯してもらってお話ししました。
すごくいろいろな話が出来たなと、あれは和ろうそくのパワー!?と今更思います。
私は建築士という立場から、今よく耳にするスローフードという概念を、建築、インテリア、家具、身の回りの品、そして生活様式に渡り取り入れていきたい、すなわちスローライフスタイルを提案したいと言うふうにつながったわけなのです。建築空間の中でもとりわけ住宅空間でもっと和ろうそくのあかりを取り入れたい、そんな話を高澤さんとしていたところ、『建築の人たち!蛍光灯は使わないで!』と言われてしまいました・・・
高澤さんが教えてくれた話で興味深く、私も家を持つことが出来たら実践したいなと思ったのは、ある九州のすし屋さん(ダッタと思いますが・・・)で、トイレに行ったら電気がなかった。そのかわり入り口にろうそくが置いてあり、それにあかりを灯して用を足すというのです。トイレはもともとリラックスできる空間(私だけ?!)ですが、あかりの中でなんて、なんだか素敵!と思ってしまいました。そして実際、トイレって、一日何度か使うところだし、昼間あかりが保てれば夜の数回、電気をつけなくてもいいと言えばいい。と、思います。
それから、高澤さんは外国へ行くとスーパーで当たり前のようにたくさんキャンドルが並んでいて、客も野菜や肉を買うように、キャンドルも買っている姿を見て、毎回大変感動するそうです。
海外生活の経験もある私ですが、これは事実ですね。
イタリアでの話ですが、毎晩キャンドルの中で夕食をとっているというのは大げさですが、でも、イタリア人は友達などを家に招待してご飯を食べる時、キャンドルは欠かせません。これはもう、おもてなしの心、おもてなしの空間作り、そのものだと思います。
それからもう一つ感じることは、夜空に打ち上げられる花火、暗闇の草むらの中に光るホタル、暗闇の中に光るものって、実は案外日本人が好んでいるものなのではって、思います。家の中の暗闇にともる一筋のろうそくのあかり。これは間違いなく、いいと思いますよ。誰にでもいつでも見れるものですから。(ただ火事に気をつけてください!)火事といえばなぜか人がたくさん集まりますよね。火がすきなんです、きっと人間は。特に夜の火事はきれいにさえ見えてしまう・・・。
最後に、『和ろうそくって何?』『キャンドルと違うの?』という疑問にお答えします。(文中では和ろうそくとキャンドルを区別して使ってきました)
簡単に言えば和ろうそくは植物から出来ていて、キャンドルは石油から出来ているということ。
七尾和ろうそくのロウはハゼという木から作られている木蝋です。
一方、キャンドルは石油ですね。
そして和ろうそくの芯は和紙で出来ています、一方キャンドルは綿です。
この、木蝋と和紙からなる和ろうそく、キャンドルの燃え方とはちょっと違います。
もうちょっと力強い、生命力あふれる感じがします。
一度和ろうそくを手に取ると、その素晴らしさがわかるはず。
高澤和ろうそく店の紹介
七尾市の一本杉商店街に高澤和ろうそく店はあります。黒く塗られた土蔵作りの店構えです。
通りに面したお店、前を通りかかるとほのかな香りがします。店構え、香り、それなりに若い(!?)私でさえもどこか懐かしく感じるような、ノスタルジックな雰囲気があります。
1Fは手作りの和ろうそく、お香、その他小物などが売られています。
そして2Fにはあかりのミニギャラリー。どなたでもご自由にはいれます。
七尾和ろうそくの材料、製造過程の展示、日本各地の和ろうそく、そして外国の様々なキャンドルが並んでいました。
|